授業を聴くだけでテストの点数を取れてしまう子がいる一方、 努力しているのに一向に点数が伸びない子がいます。 この理不尽な差は一体どこから生まれるのでしょうか。
多くの人はそれを「地頭の良さ」や「才能」の一言で片付けてしまいます。 残酷ですが、こういう一面があるのは事実です。
しかし、どんな人にも共通する理解のプロセスがあります。 いわゆる「地頭が良い子」は授業を聴いた瞬間に努力なしにこれを達成できてしまっているに過ぎません。
本記事ではそれがどういうものかを解説します。 これを身につけ実践することができれば、地頭や才能に関係なく成績を向上させる事ができます。
理解の原理「分解と再構成」1
まず、理解はどのような過程で起こるのかを説明します。
理解は以下の2つから構成されます。
- 分解:情報の中から目立つものとそれに従属する細部の構造を見出す
- 再構成:分解で得た構成要素を組み直してその情報を再現する
具体例で補足します。
同じ景色を見ていて細かいところまで覚えている人がいる一方で何も覚えてない人がいますよね。 この差がなぜ生じるのでしょうか。
まず、大きい建物のような最も目立つものが目に入ります。 他にも目立つものがいくつかあります。 こうやってその景色の構成要素を順々に把握していくことが「分解」です。
次に、最も目立つ要素と他の要素の位置関係を把握していきます。 それに従って要素を配置していくことで景色を頭の中に再現します。 これが「再構成」です。 そうすることではじめて景色を大まかに掴むことができます。
景色をよく覚えている人はこれを細部まで繰り返した人です。 逆にあまり覚えていない人は漠然としか景色を見ていなかった人です。
同じ情報を受け取っているはずなのに理解度に差が生じるのは「分解」と「再構成」をどこまでやったかに違いがあるからです。
勉強を理解する過程も「分解と再構成」
景色の例えを勉強に置き換えて、 同じ授業を聴いているのに理解度に差が生じる理由を述べます。
「景色の中の目立つもの」は勉強では何に対応するでしょうか。 それはその学習分野の中で幹に当たるような重要な要素です。 たとえば、
- 数学では、繰り返し登場する基本となるような公式や考え方
- 歴史では、歴史の流れを決定づける重要な出来事
などが挙げられます。
こういう要素を把握することが勉強における「分解」です。
こうして把握した要素間がどのような繋がっているかが「景色における位置関係」に当たります。
たとえば、
- 数学では、ある公式を使って別の公式を証明できる
- 歴史では、あの出来事があったから後にこの出来事が起きた
というような関係を捉えて分解で得た要素を位置づけていくことが「再構成」です。
これらを繰り返すことでその学習分野について理解を深めることができます。
よく授業を理解できた人は、何が「目立って」いて、それらがどう関連づいているのかを噛み砕けた人です。 よく理解できなかった人は、どこが要点なのかや緩急が分からずにどれも重要であるかのような聴き方をしてしまったような人です。
同じ授業を聴いているのに理解度に差が生じるのは、 やはり「分解」と「再構成」の度合いの違いによるのです。
成績が伸びない子でも伸びる勉強方法
以上で「分解と再構成」が万人共通の理解のプロセスであることを解説しました。
景色では「目立つもの」やその位置関係を把握することは容易です。 少し注意して見れば、それは明らかだからです。
しかし、勉強においては何が重要でそれらがどう繋がっているのかは自明ではありません。
そこで、「分解と再構成」を強制的に実践するために「自分の言葉でメモする」という方法を提案します。 これは「地頭がいい子」が自動的にやっていることを誰でも再現できる仕組みです。 これを習慣づけることで、才能に関係なく成績を向上させることができます。
一見大したことのない方法に見えるかもしれません。 しかし、「分解と再構成」を駆動するメモの効果は絶大です。
続く【実践編】では、高校数学の教科書を実例にあげながら、 この方法の具体的な手順と、 なぜこれが塾や宿題の成果を劇的に変えるのかを深掘りして解説します。
参考
- 論理学 考える技術の初歩[エティエンヌ・ボノ・ド・コンディヤック]