「ドキュメント学習」とは、 PCで理解や疑問を継続的に更新することで、 学習をプロジェクト管理可能な形へ変換する手法です。

パソコン(PC)は情報管理に優れたツールであり仕事ではもはや必須です。

本記事では、 学校の勉強にPCを組み込むことが 勉強をプロジェクトとして扱えるようになり、 その結果、学習フローを改良できることを説明します。

教科書から学習項目を取り出しPCメモで知識と疑問と進捗を管理して学校の授業や宿題で確かめるドキュメント学習

表1. 従来の紙ベース学習とドキュメント学習の比較
項目従来ドキュメント学習
予習次回内容の理解下見による残タスク把握
復習問題集のやり直しドキュメント更新
疑問忘れがちTODO管理
質問漠然としがち具体化される
ノート保存場所作業場
学習管理感覚的進捗管理

なぜPCを使うべきなのか

PCは便利ではあるけど「学校は紙で勉強する場所なのだからPCは使いづらいのでは?」と思われるかもしれません。

書くだけなら紙のノートでもできるのになぜPCなのか。 それは紙では書いた内容を直したり配置し直すことが難しい一方、PCメモでは編集が容易だからです。

理解とは「分解と再構成」のことです。 教科書を見たり授業を受けるだけでは情報が素通りして「分解と再構成」が起きにくいので理解するのは難しいです。

そこで、書くことによって理解を駆動できます。 これは「教えることで学べる」に通じています。 自分の言葉で教科書を再現するようなものです。

しかし、一回書くだけで理解するのは難しいです。 何度も自分の言葉で書き直す「再構成」を通して理解を深める必要があります。 そこで、編集しやすいPCの出番です。

PCメモによって理解を継続的にメンテナンスする学習法が「ドキュメント学習」です。

紙とPCは役割が異なる、使い分けるべし

しかし、これは紙をPCに置き換えるべしという主張ではありません。

紙とPCは役割が違います。 図や計算を自由に書く場合は紙が、 情報を管理し継続的に編集するためにはPCが有効です。

ただ、PCには編集能力の他にも 調べものやAIへの質問を快適にできるというメリット もあります。

故に紙が有用であり続ける一方でPCはIT時代の中心的な仕事道具なのです。

勉強をプロジェクトとして扱う

仕事では目標を定め、残タスクを管理しながら進めます。 勉強も本質的には同じです。

そして幸いなことに不確実性が高い仕事とは違って、 勉強は目標や計画を立てることが容易です(勉強自体が簡単という意味ではない)。

なぜなら、教科書に学習すべき内容が網羅されている からです。 教科書から学習すべき項目のリストを得ることができます。

学習すべきリストは残タスクの可視化です。 ゴールのないマラソンは困難です。 残タスクを明確にすることでゴールが見えて、勉強を継続する意志が高まります。

これは「漠然と勉強しなければならない」から「リストを順に潰していく」への意識の転換です。 勉強をプロジェクトとして捉えるということでもあります。

ドキュメントは知識ベースであり進捗管理表でもある

勉強をプロジェクトとして扱うこと自体は紙でもできます。

実際、ノートの余白に疑問を書いたり、 チェックボックスを書いて進捗管理したりすることは可能です。

しかし、理解が深まって内容を書き直したくなったり、 新しい項目を追加したくなったりすると紙では管理が難しくなります。

そこでPCメモ、つまりドキュメントの出番です。

PCなら、

  • 取りこぼした項目を追加する
  • 必要な項目を検索して参照する
  • 未理解部分をTODOとして残す
  • 理解が深まったら書き直せる

といったことが容易です。

このように「ドキュメント学習」のメモは自分の言葉で継続的にまとめることで理解を深めていく場であると同時に、 学習すべきリストを管理する場としても機能します。

PCの編集能力によって、ドキュメントは単なるメモではなくなります。

  • 理解したこと
  • 分からないこと、理解したいこと
  • これから学ぶこと
  • 学習の進捗と達成度

それらを一箇所で管理することで勉強そのものをプロジェクトとして扱えるようになるのです。

そしてドキュメントは

  • 知識ベース
  • TODOリスト
  • 進捗管理表

を兼ねるようになります。

「ドキュメント学習」によって学校の見え方がどう変わるか

以上で、

  • 編集容易なPCメモの継続的編集によって理解(分解と再構成)を駆動する
  • PCメモは勉強プロジェクトの管理ツールでもある

と述べました。

これを学校の勉強に組み込むことによって学習がどう改善できるのかをお話します。

ドキュメント学習では、まず教科書から学習項目の一覧を作ります。 これは予習というよりは下見です。 下見は事前に理解することではなく、残タスクを把握することを目的に教科書を読むことです。

下見を前提にすると、学校の授業は初めて知識を受け取る場ではなくなります。 既に把握している学習項目について、

  • 理解を深める
  • 疑問を解消する
  • ドキュメントを更新する

ための材料を集める場になります。

つまり学校は受動的な知識のインプットの場ではなく、 リストを埋めてプロジェクトを前進させるための確認の場になるのです。

また、質問も「分かりません」から「ここが分かりません」という具体的なものに変わります。 自分の言葉でまとめることを目指すために疑問が具体的になるからです。

さらに、PCが知識庫であるという見方は学校のノートの使い方を変えます。 ノートは完成品を保存する場所ではなく、

  • 計算を試す
  • 図を書く
  • 思いつきを書く
  • 先生の説明を一時的に記録する

ための作業場になります。

ノートは授業の板書ではなく、 ドキュメントへ反映するための素材となります。

結び

授業を全部デジタル化することを勧めているのではありません。

授業や問題演習では紙を使う。 理解した内容や疑問の管理にはPCを使う。

このように役割を分担することで、 それぞれの長所を活かすことができます。

ドキュメント学習は学校を勉強させられる受け身な場ではなく、 自分の学習プロジェクトを進めるために利用する場になります。

教科書で全体像を把握し、 ドキュメントで理解と疑問を管理し、 学校で理解を確認する。

私はこの流れが、 学校を最も有効活用できる学習法だと考えています。